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リサーチパネル

伊良部シリーズ新刊 『コメンテーター』発売記念 色々な伊良部先生

2023年6月29日

とんでも精神科医伊良部先生の17年ぶりの新刊「コメンテーター」発売

奥田英朗氏の小説シリーズ、伊良部シリーズの新刊「コメンテーター」が2023年5月11日に発売されました。
以下の5話を収録。コロナ禍もなんのその、とんでも精神科医伊良部一郎は健在でした。

  • コメンテーター
  • ラジオ体操第2
  • うっかり億万長者
  • ピアノ・レッスン
  • パレード

コロナの自粛の閉塞感や悩みを抱えた患者さんをぶっきらぼうなセクシー看護婦マユミちゃんとやりたい放題で振り回したあげく解決に導いてく迷医っぷりは健在でした。
そんな伊良部先生を自分が知ったのはアニメ「空中ブランコ」でした。

アニメ版はタイトルにもなっている空中ブランコの他、シリーズのイン・ザ・プール、町長選挙からも合わせて3冊のエピソード含め患者さんたちが同時期に伊良部先生にかかっているという演出になっていのも面白かったです。
自分はこのアニメ版から入って原作を見るようになりました。
大病院の肥満の御曹司で問題児の伊良部先生が傍若無人でかつ治療と称して基本的には自分が楽しみたいだけの傍迷惑な行動に巻き込んだり、無理難題をふっかけるのに何故か患者さんは救われていくこの話は謎の感動が有ります。
あと、シーンによって肥満の伊良部、イケメン伊良部、子供の伊良部の三つの姿が登場するのが患者から見た変幻自在の伊良部先生という演出がアニメならではだなと思います。
あと患者さんが、声を当てる声優さんがトレス画的なかんじで顔出し出演しているのも斬新だったなと。
原作でもそうですが伊良部先生は無茶苦茶ではあるものの、実は精神科医としては結構まともにアプローチしているんですよね。

アニメ版だけでない、様々な伊良部先生

奥田英朗氏の代表作とも言える精神科医・伊良部シリーズはコメンテーターを含め以下、計4作。

  • イン・ザ・プール
  • 空中ブランコ
  • 町長選挙
  • コメンテーター

エピソードとしては19エピソードになります。最新作のコメンテーター以外はオーディオブックも発売されてます。
アニメ版で採用されたタイトル、空中ブランコはじつは本としては第2弾となります。
この伊良部シリーズはイン・ザ・プールと空中ブランコが2004年に連続で出版され空中ブランコが直木賞を受賞しました。
アニメ版が2009年にフジテレビのノイタミで放映されましたが、映像としては出版翌年2005年から登場しているんでしよね。
イン・ザ・プールが映画作品として、空中ブランコがドラマとして放映されているんですよね。どちらの作品もメインタイトルエピソードだけでなく複数の話を織り交ぜてオリジナルの要素が含まれるというスタイルはすでに最初の映像化から行われています。

2005年の映画作品であり、最初の映像化作品がこのイン・ザ・プールです。
タイトルにもなってるプールに入られなくていられない男が患者の「イン・ザ・プール」。
アレが勃ちっぱなしになってしまった男が患者の「勃ちっぱなし」。
確認しても確認いても、気になったら心配が止まらない女が患者の「いてもたっても」の3エピソースが微妙にリンクして進んでいきます。ぶっちゃけ他の映像作品の多くも同様の形態が取られます。
伊良部先生は松尾スズキさんが演じています。

同じく2005年のフジテレビのドラマ作品の空中ブランコ。
タイトルの空中ブランコの飛べなくなった不眠の空中ブランコのトップフライヤーを堺雅人、伊良部先生を阿部寛が演じています。
この作品も先端恐怖症のヤクザのエピソードであるハリネズミと自意識過剰でストーカーにつけまわされていると訴えるモデルが患者のエピソード、コンパニオンがイン・ザ・プールと同じくリンクしている作品です。

さらにTVドラマ作品としては現在、動画配信もなくソフト購入も困難ですがテレビ朝日で2011年に連続ドラマとして全8話で放送された「Dr伊良部一郎」があります。こちらは1話完結型でマユミちゃんがセクシー熟女だったり改変はあるもの話自体は比較的原作に寄せている作品だったかなと。
 徳重聡さんが伊良部先生を余貴美子さんがマユミちゃんを演じていました。
なにぶん、配信もなくDVDも長らく絶版で画像がないのはお許しください。
ちなみに、全8話の中で自分は義父のヅラが気になって仕方がない強迫観念症の婿を岡田義徳さんが演じた第2話(原作タイトルはまんま「義父のヅラ」)が印象に残っています。
ストーリーの詳細は割愛しますが、手に握った義父のヅラを「お・・・落ちておりましたぁ・・」と両手で渡すシーンがいまだに脳裏に刺さっております。
ここまで自分が知ってる限りはのTV、映画の伊良部先生を挙げましたが整理するとこんな感じです。

  • 2005年 イン・ザ・プール(映画) 演:松尾スズキ
  • 2005年 空中ブランコ(ドラマ:フジテレビ) 演:阿部寛
  • 2009年 空中ブランコ(アニメ:フジテレビ) 声:三ツ矢雄二(肥満、イケメン)、朴璐美(子供)
  • 2010年 Dr伊良部一郎(ドラマ:朝日テレビ) 演:徳重聡

小説を見てもわかりますが、実にいろんな演出に耐えられる作品と思います。紹介した作品もそれぞれが独自の個性がありますが、原作のテイストは損なわない作品ばかりです。
確か2017年にパク・ヨンスン主演で韓国ドラマでのリメイクするのしないので延期になったらしいですが、そういえば放映したという話を聞かないな・・・どうなったんだろう。
日本ではTVや映画では14年ほどご無沙汰になっています。コメンテーターの発売で新作が放映されることを期待しています。

舞台もあります

伊良部シリーズは舞台化もされています。
故 渡辺徹さんと内博貴さんの二人芝居で2019年にイン・ザ・プールが公演されています。
2022年に同じキャストで先端恐怖症のヤクザのエピソード、ハリネズミが予定されていたのですが当時、渡辺徹さんの病気の診断で中止になっています。
こちらはソフト化されておらず、またハリネズミは幻の作品となってしまったのが残念です。

現在、演劇として見れるのは配信はないですがソフトとして2008年公演の空中ブランコの舞台版があります。
伊良部先生を宮迫博之さん、マユミちゃんを佐藤江梨子さんが演じています。

この舞台版 空中ブランコは結構大胆に原作をアレンジしています。
前半は小説原作をなぞった飛べない空中ブランコ乗りのストーリーですがそこは前半でほぼ解決、後半はサーカスに所属するメンバ全員の心の悩みが展開されていく完全オリジナルストーリーになっています。
いろいろ、賛否両論ある作品ですが自分は実はこの舞台版の宮迫博之さん、佐藤江梨子さんの伊良部先生、マユミちゃんが一番好きです。
この舞台を見てキャラクターとしては伊良部先生とマユミちゃんがいたらきっとこれなんじゃないかなと思った次第です。
というかアニメを抜きにすれば、むしろアニメ以上にエキセントリックで紹介した中では最も無茶苦茶な伊良部先生だと思います。自分はこの宮迫版伊良部が一推しです。

オーディオブック版で入るのもあり

イン・ザ・プール、空中ブランコ、町長選挙はつきねこ座のメンバーによるオーディオブックがあります。
audiobook.jp などで購入やサブスクで聴くことができます。自分はApple Booksのオーディオブックで購入しました。
こちらはもちろん原作に忠実、アレンジ無しのド直球ですがオーディオドラマとしても原作を知るにしても入りやすいと思いますのでぜひおすすめです。

もし映像化が再度なされるなら

自分はアンポンマンと町長選挙がぜひ見たいです。